2025年9月29日の午後より、健和会めぶきホールにて糖尿病教室を行いました。
今回は「健康寿命をのばすために part 2」として、「ダイアベティス(糖尿病)と動脈硬化」をテーマとし、前回の筋肉や骨に続き、「血管」を丈夫に保ち、健康寿命をのばすためのポイントを学ぶ教室となりました。
多くの応募をいただき早々に締め切りとなり、22人の方が参加されました。

開始前に、ご希望の方は看護師が血糖値や血圧などを測定させていただきます

糖尿病内科の佐々医師によるダイアベティス(糖尿病)と動脈硬化に関する講義
まずは、うえだ下田部病院で糖尿病内科を担当している佐々医師より、動脈硬化の危険因子やメカニズム、どうすれば動脈硬化を予防できるかなどにつき、最近の知見を交えた話がありました。
(佐々医師の話)
「健康寿命をのばすために大切なものに、筋肉、骨、血管、歯・口があり、前回は筋肉と骨を中心にお話しました。当院では骨密度と筋肉量を正確に測れるDXAという器械を導入しています。実際に測定してみると、特に女性の方は骨密度が低下している方が多く、また筋肉量は40歳頃から低下していき、男性も非常に低下している方が多いですが、適切な運動や食事などを行うと、70代、80代、何歳になっても改善します。蛋白質をしっかりとって、日光を適度に浴びることも重要です。
さて、今回は血管がテーマです。糖尿病で脳梗塞や狭心症、心筋梗塞、末梢動脈疾患といった動脈硬化性疾患が起こりやすく、予防が大切です。動脈硬化は高血圧や高血糖、脂質異常症、喫煙、運動不足などの危険因子があると徐々に進行し、これらの危険因子が多いほど進んでしまいます。
動脈硬化の予防には、早期から、血糖値だけでなく、血圧や脂質もあわせて包括的に良好な状態にして、喫煙している方は禁煙することが重要です。内臓脂肪をためず、肥満にならないことも重要です。
血管は外側から外膜、中膜、内膜があり、内膜の表面、血液と接するところは内皮細胞で覆われています。
全身の内皮細胞をすべてつなげると、地球2周半(約10万km)にもなります。
内皮細胞にはいろいろな機能があり、血管を拡張する一酸化窒素NOを分泌し、血管がしなやかに拡張して血流をよくするなどしていますが、高血糖や高血圧、脂質異常症、喫煙、運動不足などがあると、内皮細胞の機能が損なわれてしまいます。
血球由来のマクロファージという細胞が、酸化した悪玉コレステロールである酸化LDLを次々取り込んで内膜にたまってプラークができたり(詳細に説明あり)、プラークが増大して血流が少なくなって狭心症が起こったり、さらにプラークが破れると血栓(血の塊)ができて血管が詰まり、血流がとだえる時間が長くなると心筋梗塞が起こります。
では予防するにはどうしたらよいかといいますと、先ほどの危険因子をそれぞれ良好にすることです。
例えば血糖では、HbAlcが1%増加すると、心筋梗塞や脳卒中など(大血管症)の発症が十数%増加する、また最近ではHbAlcを1%低下させることでこれらの発症が30%前後減少すると報告されています。
また糖尿病になっていない耐糖能異常でも、脳梗塞や狭心症などが増えるとされており、早期から良い値にするのが重要です。しかし、低血糖、特に重症低血糖は大血管症のリスクがあり、ご年齢や低血糖の危険性や支援体制などいろいろなことを個別に考えて、目標値を設定し、低血糖を避けることも重要です。
また近年ではSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬が、二次
また血圧は、外来での血圧よりも、普段の家庭血圧が重要です。血圧が高め方は、ぜひ上腕式血圧計を購入して、朝食前(朝起きて1時間以内、排尿後)と眠前に測定して下さい。血圧管理には減塩も重要です。また血圧も同様に、動脈硬化が進んだ方などでは下げすぎない方がよい場合もあり、個別に目標値を設定します。
糖尿病がある方のLDLコレステロールも、状態により目標値が異なります。網膜症・腎症・神経障害の合併、喫煙などがあれば、100 mg/dl未満、以前心筋梗塞などを起こした人は70 mg/dl未満、なにもない方は120 mg/dl未満です。
中性脂肪やHDLコレステロールも動脈硬化と関連しており、良好な値にする方がよいです。
また喫煙している方は禁煙が重要です。
このように、動脈硬化は予防が大切で、血管内皮細胞の機能を保つことが大切です。高血糖、高血圧、脂質異常症、肥満、喫煙で内皮細胞の機能は低下しますが、食事や運動を適切に行うと、血管内皮機能が良くなります。
動脈硬化を予防する食事の要点は、食べ過ぎず、肥満にならない、肉の脂身や動物脂や卵などコレステロールを多く含む食品を取りすぎない、魚や野菜、大豆製品は積極的に摂取する、甘い飲料やアルコール、菓子類は控えめに、減塩するといった、健康長寿食です。
また高齢の方は筋肉量を落とさないよう注意し、蛋白質はできれば毎食しっかり摂取する方が望ましいです。
脂質異常症や、筋肉量が減るサルコペニア対策の食事や運動、減塩の実際については、今日お配りしている、当院が作成したリーフレットにまとめています。
また運動習慣で血管の内皮機能が改善します。血糖も良くなりますし、中性脂肪やHDLコレステロールが改善したり、内臓脂肪が減ったり、筋肉量が増えます。
動脈硬化予防には、1日30分以上、少し汗ばむぐらいの有酸素運動、つまり散歩やスロージョギング、水泳などを週150分以上するとよいですし、ストレッチも有効です。
まとまった時間がとれない場合は、まずは10分なにか運動してみて下さい。
また座りっぱなしで血糖も上昇しますし、寿命も縮むとされており、30分か、少なくとも1時間に1回は立ち上がって体操や足踏みなどすると、血流も良くなります。
そもそも下肢の筋肉が落ちて歩けなくなると散歩もできませんし、スクワットなど軽い筋トレも有効です。なお、高強度の筋力トレーニングは動脈硬化を進めてしまいますが、中強度では進めないとされています。また状態によって運動に制限がある場合もあり、どの程度運動してもよいかあらかじめ確認して下さい。
そして、検査を定期的に受けていただくのも重要です。糖尿病の方は無症候性心筋虚血の例が多く、症状がないことも多いです。当院は年間スケジュールを作って定期的に、頸動脈エコーで頸動脈にプラークがないかとか、ABIで下肢の血管につまりがないか、心電図、心エコーなどを行っているので、定期的に検査を受けていただく、また労作で胸が痛いとか、足がだるくなる、片側だけ手足が動かなかったり呂律が回りにくかったがすぐ治ったなどの症状があればすぐ主治医の先生に相談して下さい。」
最後に、ダイアベティスという呼称やアドボカシー活動につきお話がありました。

川脇臨床検査技師より血管や心臓に関する検査についての話
続いて、うえだ下田部病院の川脇臨床検査技師より、動脈硬化に関わる血管を中心とした検査についての説明がありました。
動脈硬化は自覚症状が乏しいため、検査による「血管の硬さ」や「詰まり具合」の評価が重要となりますが、当院では、手足の血圧比を測るABI検査で下肢の血管の詰まりを、脈波で動脈の硬さを測るbaPWV検査を行っていることが紹介されました。
また、頸動脈エコー検査では、超音波で首の血管の壁の厚さ(IMT)やプラーク(血管内のかたまり)を直接観察し、脳梗塞のリスクを判定していきます。
心臓に関しては、自転車をこいで負荷をかけるエルゴメーター検査等で、運動時の心電図変化も確認していく、というそれぞれの検査の紹介と、その目的や評価についての説明がありました。
そして最後に、血糖高値や高血圧、脂質異常症や喫煙などがあると動脈硬化が進みやすいですが、症状がないことも多いため、定期的な検査で早期発見が大事です、というメッセージが伝えられました。

初代管理栄養士より、動脈硬化を予防する食事についての話
続いて、初代管理栄養士より、動脈硬化を予防するための食事の工夫について、説明がありました。
動脈硬化予防の鍵は「脂質」と「塩分」のコントロールです。
脂質に関しては、肉の脂やバター等の動物性脂肪を控え、逆に悪玉コレステロールを減らすEPA・DHAが豊富な青魚(サンマやサバ)を積極的に摂りましょう。また、海藻やきのこ類に含まれる食物繊維はコレステロールを下げる役割があります。
また、高血圧を防ぐための減塩も重要です。日本の食事は世界の中でも塩分が多いと言われており、味噌汁は1日1杯まで、麺類の汁は残すのが鉄則だという説明がありました。
味が物足りない時は、醤油を足すのではなく、お酢、レモン、香味野菜(シソや生姜)を活用して味にアクセントをつける工夫が紹介されました。
また、どのような食事が望ましいかを一緒に考えるクイズも出題され、会場の皆さんと行い、肉よりも魚、野菜や豆類を積極的に食べる食生活が望ましいということを勉強しました。

平井・瀬田理学療法士の指導で家でできる動脈硬化を予防する運動を実践しました
最後に、平井理学療法士・瀬田理学療法士からは、筋肉量のセルフチェックの方法の案内や、動脈硬化を予防する運動についての紹介がありました。
まず、両手の人差し指どうし、親指どうしで輪を作り、足のふくらはぎをその輪で囲んですき間ができないかをチェックする「指輪っかテスト」の紹介がありました。
このテストで足と指の間にすき間ができるようなら筋肉量が低下しているサインとなるということでした。
また動脈硬化予防には有酸素運動が有効で、週150分以上、つまり1日30分程度を目安に体を動かすのが理想だという話がありました。
特に「食後30分〜60分」の運動は、血糖値の上昇を抑える効果が高くおすすめということで、自宅でできる運動として、参加者全員で椅子を使った「ハーフスクワット」や「かかと上げ」、座ったまま足で文字を書く運動などを実践しました。
配布した運動カレンダーも活用し、痛みがある時は無理をせず、継続できる範囲で運動を行い、筋肉を維持していきましょうという話で締めくくられました。
参加された方からは、"お話もよくわかったし、自分でできる運動や食事など教えていただいたので頑張りたいと思います" "初めて参加して、楽しかったし、とてもわかりやすかったです" といった意見が寄せられました。
これからもうえだ下田部病院では、糖尿病で受診をされている方、血糖値が気になる方などを対象に、テーマを変えて定期的に糖尿病教室を行っていきたいと思っております。
お気軽に皆様の参加をお待ちしております。
血糖値が気になる方、当院での糖尿病内科の受診を希望される方はお気軽におたずねください。
| 診療日 | 午前診: 毎週月~土曜日 午後診:月・水曜日 |
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